最近想うこと
ごめんください。
ここ二カ月近く小林製薬の紅麴サプリメントの件で騒がれております。
命を落とされた方も出ている中、原因もわからない状況の中で、申し上げる立場ではございませんが、全ての紅麹が悪ではないと強く思うところです。
当社は、米の白糀のみを製造しておりますが、毎日のように問い合わせがありました。
もちろん、安心していだたけるように質問には丁寧にお応えさせていただいております。
近年まで私、調理師資格をめざす方達に食品学の講義をしておりました。
その中で“トクホ”と言われる“特定保健用食品”の他に2015年からと記憶してますが、
“機能性表示食品”の制度が始まった項目があり、講義中、その違いについての質問を受けました。
『トクホの取得は大変厳しく、すべてクリアして国から許可されるのに、機能性食品は国に届け出を行うのみで表示できるのはどうしてですか?』
法律に基づいて決められた制度ですと、私自身曖昧な答えで終えてきましたが、今思えばその質問はとても有意義な問いだったと考えるところです。
食品微生物の“かび” “酵母” “細菌” は食品加工に数千年前から利用されていると言われています。
漬物、鰹節、清酒、酢、醤油、味噌、甘酒、ヨーグルト、パン、納豆、チーズ、ビール、ワイン等…
私達の食生活に発酵という過程は欠くことの出来ない日本の食文化そのものです。
そして近年は、免疫力を強くしてくれる糀パワーが見直されています。
私が嫁いで間もなく先代の父に、
ここは米に花と書く“糀”を造っているところだと“室”に連れていかれて、上がりたての“糀”を見なさい。菌糸の先端に胞子が花咲いてきれいでしょう!!と説明してもらいました。
また夫からは醤油を仕込んだ時、発酵する音を聞いてもらいたいと夜、醤油蔵に行って大きな仕込み樽の中からポン、ポロン、ポンポロンと静まった蔵に響き渡る音はまるで弦楽器の演奏を聞いているような時を過ごしたものです。
当たり前の些細な事ですが、この発酵の生業はすばらしく日本食に欠くことのできないものと誇りに思うところです。
何とかこの一件が一日も早く原因究明され治まってくれますように祈るばかりです。